【社員インタビュー】道路ひとすじ40年。自治体で道路管理の現場をみてきたメンバーが語るアーバンエックス

アーバンエックスで働く人を紹介するインタビュー。今回は、片桐さんのインタビューです。片桐さんはアーバンエックスで業務委託として働き始める前は、品川区の職員として約40年の経験を持つ、自治体現場を知り尽くしたベテランメンバーです。
今回は、なぜ自治体退職後にスタートアップに進む道を選んだのか聞いてみました。

片桐 昇

昭和54年(1979年)に品川区役所に土木技術専門職として入職。以後、定年退職まで一貫して品川区役所で道路にまつわる業務を担当。退職後は、スタートアップ企業や道路補修に関する民間企業でこれまでの経験を活かす。

道路一筋のキャリアで築いた現場視点

— これまでのご経歴を教えてください。
新卒で品川区役所で土木技術職(専門職)として採用され、そのまま約40年間、働いていました。昭和54年(1979年)に入職し、令和4年(2022年)までの長い間、ほぼ全ての期間を「道路」に関する業務を担当していました。
区役所は、専門職としての採用枠で入職しても、ゼネラリストを目指し、さまざまな部署を経験する人が多いものですが、私の場合は珍しく道路一筋というキャリアです。新規で道路をつくる際の計画立案から、用地買収、工事発注、工事の監督、完成後の維持管理まで、本当に全てのフェーズを経験しました。

— 道路だけでもすごく幅広いんですね。
そうなんです。都市計画法などを踏まえて計画を作り、住んでいる人や地主さんと交渉して用地を確保するところも区役所の仕事です。特に用地買収は区民の皆様の生活にも直結するので大変な仕事です。それでも私が経験した領域は、区民の方と「悪い関係のまま終わる」ということはなく、どの方ともしっかりと話し合いを重ね、最終的には納得していただけたのは貴重な経験でした。

— 維持管理の仕事も経験されたんですよね。
偶然にも、キャリアの最初と最後が「維持管理」でした。入職当時は、直接区の職員が道路の補修や点検を行うのが自治体の一般的な体制でした。はじめは現場事務所に配属されて、自分よりも年上の技術職の方々をまとめる仕事をしていました。

その後、自治体全体の体制の見直しがあり、道路補修業務の民間委託が進み、現場事務所は廃止されました。その後、補修以外の業務を経て、最後に道路補修部門へ戻ったときには、まさにその民間委託がうまくいっておらず、連携がとれていない状況でした。結果的に、事故や苦情が増えてしまっていたんです。「これは立て直さないと」と感じ、最後に再び現場の管理に取り組むチャンスに恵まれました。

現場の情報共有とデジタル化への挑戦

— 最後に道路補修領域を担当された際は、どんな改革を進められたんですか?
一番の課題は「情報が全く共有されていない」ことでした。僕が入職した頃から全く変わらず、紙の台帳で情報を管理する文化が続いていることに驚きました。そんな状況なので、補修履歴や現状が全然把握できなかったんです。
まずは「情報を誰でも見られるようにする」ことをゴールとし、アプリを導入しました。現在アーバンエックスが提供し、品川区が使用している「RoadManager」の前身です。これでまずは、どの道路がどんな状態かを共有できるようにしたんです。

— デジタル化も最初からうまくいったわけではないんですね。
そうなんです。最初に入れたシステムは正直、使いにくい部分も多くありました。だからこそ、運用を含めた道路維持管理について勉強をしたいと感じ、研究会に参加したのが「RoadManager」と出会ったきっかけです。結果、5年くらい比較検討した上で「RoadManager」を導入しました。自治体の場合はこういうシステムを一度導入すると、10年単位で使うケースも多いため、責任も重大です。

— デジタル化によって現場は変わりましたか?
もちろん全てが一気に変わるわけではありませんでした。正直今でも、ITが得意な一部の人しか使いこなせてない現状はあります。それでも、データを残すことで引き継ぎは確実に楽になりましたし、全体の質は間違いなく上がりました。
僕としては、便利な道具を入れることだけがゴールではなくて、使いこなせる人を育てることをポリシーとしていました。

自治体の中から外へ、立場が変われど「道路管理」の現場を支えたい

— 品川区役所を退職後、アーバンエックスに入られた経緯を教えてください。
定年後に、再任用で品川区役所で働き続けるという選択肢もありました。ただ、『後任を育てる仕組みができていない』という課題が大きく、私ひとりが残っても根本解決にはならないと感じたんです。
それなら、外から支援する立場に回って「現場全体を支える仕組みづくり」に貢献したいと思いました。アーバンエックスの前田社長とは、私が区役所で現役で働いている頃から交流があり「タイミングが合えば来てほしい」と言われていたんです。すぐには実現できませんでしたが、それも後押しになり、時を経てアーバンエックスの一員となりました。

— 現在はどんな役割を担っているのでしょうか?
公共事業部で、主に東京都近郊の自治体の導入後のサポートをしています。新しいお客様へのご提案や、既存のお客様のフォローなどです。特に、東京23区はずっと自分が働いてきたフィールドだったので、各区の事情もよくわかります。また、『元品川区役所』という肩書きが、お客様の安心感につながり、『同じ立場の人だ』と感じて相談してくれるのも大きな強みです。

これからの自治体課題と支援のかたち

— 改めて、今、自治体が抱える課題はどんなものだと感じていますか?
やはり「人がいない」「予算もない」という問題が深刻です。人材不足や予算削減で、自治体職員だけではすべてを回しきれない。だから「包括委託」という、業務をまとめて民間に任せる流れが加速しています。
ただ、この「包括委託」はメリットだけではありません。業務を外に出すだけでは品質が保てません。自治体と業者さんがしっかりコミュニケーションを取り、信頼関係を築いていく必要があります。

— アーバンエックスでの今後の役割をどう考えていますか?
僕は「現場を知っている人間」として、自治体と業者さんの間をつなぐ橋渡しをしていきたいです。アーバンエックスのサービスをただ導入するのではなく、どうやったら現場に根づくか、一緒に考えたいですね。
また、私の場合はアーバンエックスだけでなく、道路の維持管理を委託されている民間の業者さんのサポートもしています。中小規模の事業者の皆さんも、課題をたくさん抱えています。そうした声を自治体に届けるだけでなく、アーバンエックスのサービスにもフィードバックし、自治体を取り巻く環境全体を良くしていきたいです。

— 最後に、これからアーバンエックスにジョインされる方へメッセージをお願いします。
現場で道路管理と向き合って40年以上。今は「現場を支える側」に立っています。しかし、目指しているのはずっと同じ「安心・安全な暮らしを守ること」です。
アーバンエックスには、自治体を支えたい、地域を良くしたいという思いを持った人がたくさんいます。行政出身者も、民間出身者も、いろんな経験を持った仲間が集まって、一緒に考えています。
一緒に自治体を取り巻く課題を解決したいという方がいたら、ぜひ一緒に働きたいですね。

アーバンエックスは採用中

アーバンエックスは、自治体の課題解決や、独自技術を応用した民間企業とのプロジェクト推進など、さまざまな取り組みを進めています。ぜひ一緒に、社会課題を解決していきましょう!